道端のノート。

僕の好きな詩を少しづつ載せてみたり、自分の詩を載せてみたり、
唯のくたびれたノートの1ページです。



2010/06/27

覆われるものの為の覆い(The container for the thing contained)



男は、女のブラウスの奥になにを捜しているのだろう。
男は、この7年女のからだのそばにいながら
いまなお女のすらりとした脚の曲線に
驚いている。いまなお女の背骨を
念入りに熱心になぞっていって、
骨盤帯に辿りつくとその骨を探っている。
上体を前後に動かして眺めると、
女の肌は光陽に輝いたり翳ったりする。
晩年の版画で、
グロテスクな画家として描かれているピカソは、
ベットで股をひろげている若いスペイン女を
じっと見つめている。女の脇には黒服を着た
付き添いの老女がいる。ピカソは六十年毎日
はだかを見てきていながら、いまなお
そこになにを見つけようというのだろう。
それでもなおピカソはその遠い、
遠い光の断続に近づく事が嬉しかったのだ。
それはごく身近に思われながら、
実はそうではない、二階の奥の部屋で
そっと弾かれるピアノの曲に似ている。




     ジャック・ギルバート(Jack Gilbert)