道端のノート。

僕の好きな詩を少しづつ載せてみたり、自分の詩を載せてみたり、
唯のくたびれたノートの1ページです。



2011/01/17

最後の詩

それほどぼくはきみのことを夢にみた
それほどぼくは歩き
それほどぼくは話し
それほどぼくはきみの影を愛した
もうきみについては
なんにもぼくにのこっていないくらいに
あとはただぼくが
たくさんの影のなかの影となるばかりだ
影の百倍も影となるばかりだ
この影は立ちかえり
また立ちかえることだろう
日に照らされたみにの生活の中に



      ロベール・デスノス

2011/01/11

死別の翌日

生きのこるものはずうずうしく、
死にゆくものはその清純さを漂わせ
物云いたげな瞳を床にさまよわすだけで、
親を離れ、兄弟を離れ、
最初から独りであったもののように死んでゆく。

さて、今日はよいお天気です。
街の片側は翳(かげ)り、片側は日射しをうけて、あったかい
けざやかにもわびしい秋の午前です。
空は昨日までの雨に拭われて、すがすがしく、
それは海の方まで続いている事が分かります。

その空をみながら、また街の中をみながら、
歩いてゆく私はもはや此の世のことを考えず、
さりとて死んでいったもののことも考えてはいないのです。
みたばかりの死に呆然として、
卑怯にも似た感情を抱いて私は歩いていたことを告白せねばなりません。



     中原中也