道端のノート。

僕の好きな詩を少しづつ載せてみたり、自分の詩を載せてみたり、
唯のくたびれたノートの1ページです。



2012/12/26

異邦

玄関で話を切り出した
暖かい快適な部屋でどうして話なんか出来ただろう
僕の背後にある物語は暗く細い廊下を浸食した
君はもはや君の世界にはもう居れないのだ


cic


2012/12/19

無題

君はここで何をしている?
昨日もここで見かけた。
その時は横目で流しただけだったけど
今日はさすがに気になったな。
いつも見ているね、ずーっと向こうの方。
僕も気になっている、そっちには一体何があるのか。
それより聞いた?今朝のニュース。
世界の4分の1が崩れて無くなったって。
何でも大きな木が枯れ始めて、世界を支えられなくなってきたんだと。
ま、今さらって感じかな。
他の土地も あと何日も持たないんじゃないかって有名な研究者が言ってた。
あ、ガム食べる?はい。
本当、何があるんだろうね、あの向こうに。
もしかしたら君は知ってたりしてね。



cic





2012/12/15

しろばんば


裸の街路樹が寒々と起立する夕暮れ
曇天の空 迫る夜
外套をまとう人々の足早なこと

この時期になると現れる
白い小さな羽虫の名前はしろばんば
冬の妖精しろばんば
チロチロ舞うしろばんば
一体何人がこの名を知っているだろう
しろばんば そうとも明日は選挙
斜陽の国の選挙がある




cic


2012/12/13

あぁ、まずったな。


あぁ、まずったな。
夜中、ふと目を覚ましてから俺はあの夜の事を思い出していた。
実に暗澹たる夜の事。子羊の頭を斧で割った様な、そんな夜の事だった。
糞っ、糞っと二回ほど小声で唱え 
しんと冷える12月の夜の中で俺は体を小さく屈め、
またしてもこう思うのだ、あぁ、まずったな。

今夜は良くない夜だ、だがこうなってしまえば後はどうにでもなれ、
誰の餌になってもかまやしない、実際俺は冷たい海に放り込まれたのだ、
脇腹に黒鉄の鉤を仕掛けられ、遠く遠洋に投げ込まれたのだ。

月明かりの波の下で俺は無抵抗に揺られ、血の匂いを嗅ぎ付けた魚たちは鼻先でつんつん
やってくる。
それよりも鉤針が痛くて我慢ならない、抜こうにも抜けない鉤針を抱きしめて、
俺はただ耐える
しんと耐える
ただぢっと、ぢっと耐える。

あぁ、ちくしょう、なんて夜だ
あぁ、まずったな、まったく、まずった。





cic


2012/12/11

無題

冬が襟元から その冷たい手を服の中に忍び込ませてくる
そして心臓のあたりを指でくるくるなぞる
街灯の遠い明かりは今日も薄笑い
あのうるさい羽虫もいない
しんとした夜の底で
静かに吐く息は
確かに白い。



cic

2012/12/01

道端の歌



逃げろ、逃げろよ、お前達よ逃げろ
追ってきてるぞ すぐ其処まで
不吉な野良犬が追ってきてるぞ

奴に追いつかれたらひとたまりも無いぞ 
奴に噛み付かれたらどうしようも無いぞ

みんな、忘れてる様だから言っておく
この世は弱肉強食だ

ニートはいずれ腹を食われて息絶える
馬鹿はそのうち足を食われて野垂れ死ぬ
弱者はみんな犬の餌
不吉な野良犬 残さず食べる

だから
逃げろ、逃げろよ、みんな逃げろ
死ぬまで逃げろ 夜が空けるまで逃げろ
そして
愛を抱えて 野良犬を蹴っ飛ばせ




cic