道端のノート。

僕の好きな詩を少しづつ載せてみたり、自分の詩を載せてみたり、
唯のくたびれたノートの1ページです。



2011/04/22

まっくら森

光の中で みえないものが
やみの中に うかんでみえる
まっくら森の やみの中では
きのうは あした
まっくら クライ クライ

さかなは空に 小鳥は水に
タマゴがはねて 鏡が歌う
まっくら森は 不思議なところ
朝から ずっと
まっくら クライ クライ

耳をすませば 何もきこえず
時計をみれば さかさま回り
まっくら森は こころの迷路
早いは 遅い
まっくら クライ クライ

どこにあるか みんな知ってる
どこにあるか 誰も知らない
まっくら森は 動きつづける
近くて遠い
まっくら クライ クライ

近くて遠い
まっくら クライ クライ

近くて遠い
まっくら クライ クライ

        
       

        谷山浩子

2011/04/12

贅沢な話

桜の花びらを陽気にさせる 
なんとも生暖かい風が
例外なく僕の細胞のすきま 奥深くまで入ってくる

体は覚えている この感覚
目の奥や足の裏にはもう 冬は少しこびりついているだけ

僕はこのありあまる喜びの隙間をぬけ
まだ冬の香りのする服やノートやチョコレートなんかを
身に余る大きなバッグにつめ
空を仰ぎ背伸びする人達のあいまをぬって
今 間もなく旅に出る、春を踏み台にして。

すべての僕の
飲みかけの酒、脱ぎっぱなしのズボン、
散らかした玩具、途切れないつたない会話は
そのままにしておいてほしい。

贅沢な話だが、いつでもそれをたよりに帰ってきたいんだ。




       松林 千早

2011/04/05

好き

シナモンを噛むのが好き
冷たくない いやむしろ熱い
熱帯の森に棲む獣のようで好き

ラムの雫を噛むのが好き
甘くはない いやむしろ苦い
香りが舌を裏切って好き
だから歪な君が好き

なんて悪戯な手だろう 君は
こんな私を掻き乱して
タイダイの両腕が君をねだっている
なんて悪戯な目だろう 君は
こんな日々じゃ迷子になってしまう
朝も昼も夜もいつでもさらわれていく

雨音が強くなるのが好き
暗くはない いやむしろ明るい
夏の足音みたいでいい
君の足音みたいで好き

なんて意地悪な声だ 君は
昨日より欲張りになってしまう
私は不埒な言葉をこぼしそう
なんて意地悪な夜だ 今夜
明日のその先まで知りたくなる
朝も昼も夜でも君はその気にさせる




      田村キョウコ・砂田和俊

2011/04/03

僕の名前は。

僕の名前は道化です

やってられないことばかりです

耳元まで引いた口紅で笑っているように見えるでしょう

目元にかいた涙の化粧だけがあなたに対するメッセージです

僕の名前は道化です

なぜなら、

心に重しをつけてとても深い海に沈めてしまったからです

だから僕は笑いましょう

だから僕は泣きましょう

顔にかかれたお化粧どうりに

生きてゆく他無い道化です故。



        作者不明