朝
目覚めると
まずは 揺すって見る
息の かぼそい 弟を
となりの チョルのように
永久の 眠りに つきそうだから
夜
オモニの 帰りが 遅いと
風の音にも 耳を そばだて
胸さわぎして
夜通し
眠れぬままに 夜を明かす
井戸のある家の おばさんの ように
自殺したのではないかと
わたしたちの 暮らしは
ただ生きるのではない
生き残る ことなのだ
チャン ジンソン(張真晟)
張真晟は北朝鮮の詩人です。この人の詩集、「 わたしの娘を100ウォンで売ります」を読んだとき、どんな映像や記事よりも北朝鮮の現在の在り方が生々しく泥に手を突っ込んだ様に伝わりました。
詩による伝達の威力の凄さを、ある意味初めて気付かせてくれた詩人と詩集です。
この詩集の中からもう一つ、載せておきたい詩が一編あります。
わたしたちの ご飯は
わたしたちの ご飯は
米の ご飯では ない
木
木の皮だ
わたしたちの ご飯は
山で 育つ
岩を 裂き 育つ
口に するには あまりに 痛い
わたしたちの ご飯は 痛い
分厚い 木の皮
貧しさを ぐつぐつと
煮立て
取り出しては 死ぬほどに
槌うち
また 煮詰め 槌うつ
首を 絞める 荒縄のよう
かならず 入れるのは
苛性ソーダ
こうして ようやく
どろどろの 木の皮
それでも ご飯だと
椀に 盛るために
わたしたちは 木で
ご飯を つくる
ため息の 中で
ご飯を つくる
ああ そうしてできる
その いくつかの 塊は
わたしたちの 涙の 結晶
見るほどに 締めつけられる
のど元
こんな 飯が どこにある
その 飯すらも ない
食って生きる 全世界の
生命たちよ
この国では 山の ことごとくが
裸になっても
それでも 木が 足りず
数百万人が
飢えて 死んだ