
その男は夜の半分をかけて
はるか遠いサンワキーンから
マリポーザを通過して
危険な山道を登って
朝の八時トラックの荷台に
干し草を満載して
納屋の裏に到着した。
われわれはウィンチとロープと
手鉤を使って暗い納屋のなかで
粗い目のレッドウッドのたるきに届くまで
高々と干し草の梱を積んだ。
アルファルファのきれっぱしが
屋根板の隙間の光に舞った。
干し草のほこりが汗ばんだシャツと
靴に入りこんで痒かった。
昼飯どき外の暑い馬囲いの
ブラック・オークの木陰のしたで、
老いた牝馬は昼飯の桶に鼻づらをつっこみ
きりぎりすが草むらで鳴いているとき、
男は言った、「おれはいま六十八だ。
干し草運びを始めたのは十七のときだった。
やりだしたその日に思ったもんだ、
一生こんなことをするのは御免だって。
ひでぇもんだ、おれはそればっかり
やってきてしまった。」
ゲアリー・スナイダー(Gary Snyder)