
まだ赤ん坊みたいな肉付きの
ミルクの匂いのする女の子らとくらべれば
彼女はりっぱなものだ。
朝、自分の年齢も、自分の子供らも、踏んずけて、
ベットから大股で抜けでてくるとき
青い目がきらっと警告を発する。
「この男たちまとめていい気分にしてやれるわ」
彼女は「ニューヨーク・レヴュー・オブ・ブックス」の
恋人募集欄から目を上げていった。
戦争、災害、背筋の冷える
不安の記事を
読んでやると、
青い目は揺らぎ、いかにも
アメリカの子らしく眠る。
「これまでで最高でしょ?」
彼女はかれのかたわらに滑りこみながら言った。
青い目はかれの惨めな年齢を笑っている。
濃い霧を通して波の寄せる音がする。
湿気が網戸の窓から流れ込む。
「すてきな愛の詩って、まだなの?」
彼女はせがみつづける。
眠るまえ彼女はかれの頭のなかの
詩の一行だった。
そのままにしておきたかったのだが、
いまはもう消えてしまった。
ハーヴェイ・シャピロ(harvey shapiro)
訳:沢崎 順之助
記念すべき一発目はこの詩にしました。ぼーっと外の雨を眺めているとき、何となくしっくりしたからです。
隣ではルームメイトの外人がなんやら口喧嘩しています。
今日は猫も鳥も雨宿り。ビールでも飲んでゆっくりしよ。
これからもこんな感じで詩や文章の一小節でも紹介出来たらな、と思ってます。どうぞ宜しく。