道端のノート。

僕の好きな詩を少しづつ載せてみたり、自分の詩を載せてみたり、
唯のくたびれたノートの1ページです。



2011/04/12

贅沢な話

桜の花びらを陽気にさせる 
なんとも生暖かい風が
例外なく僕の細胞のすきま 奥深くまで入ってくる

体は覚えている この感覚
目の奥や足の裏にはもう 冬は少しこびりついているだけ

僕はこのありあまる喜びの隙間をぬけ
まだ冬の香りのする服やノートやチョコレートなんかを
身に余る大きなバッグにつめ
空を仰ぎ背伸びする人達のあいまをぬって
今 間もなく旅に出る、春を踏み台にして。

すべての僕の
飲みかけの酒、脱ぎっぱなしのズボン、
散らかした玩具、途切れないつたない会話は
そのままにしておいてほしい。

贅沢な話だが、いつでもそれをたよりに帰ってきたいんだ。




       松林 千早